マリトッツォ(Maritozzo)は、ふんわりとしたブリオッシュ生地に、たっぷりのホイップクリームを挟んだイタリア・ローマ発祥の伝統的なスイーツです。半分に切ったパンからはみ出すほど大胆に詰められたクリームが特徴で、そのインパクトある見た目と濃厚な味わいで人気を集めています。
イタリアでは朝食やおやつとして古くから親しまれてきましたが、日本では2020年頃からSNSやメディアを通じて一気にブームが広まりました。パン屋やカフェだけでなく、コンビニやスーパーにも並ぶほどの大ヒットとなり、多くの人々を魅了しました。
マリトッツォの由来:ロマンチックな名前の秘密
「マリトッツォ」という名前は、イタリア語で「夫」を意味する**「マリート(marito)」が語源**です。
古くはローマ地方で、男性が婚約者への贈り物としてこのパンを贈っていたと言われています。パンの中に小さな指輪や贈り物を隠し、愛情を伝えるロマンチックな習慣があったそうです。
マリトッツォは単なる菓子パンではなく、愛を込めた贈り物として特別な意味を持つスイーツだったのです。こうした背景も、現代で再び注目を集めた理由の一つと言えるでしょう。
イタリアと日本で異なる「マリトッツォ」の楽しみ方
イタリアでは昔からカフェの定番スイーツとして親しまれており、シンプルにホイップクリームを詰めるほか、オレンジピールやはちみつを加えるなど、家庭やお店ごとにさまざまなアレンジが楽しめます。
一方、日本では「ふわふわパン+たっぷりクリーム」という組み合わせが新鮮で、写真映えするビジュアルからInstagramなどのSNSを中心に瞬く間に拡散しました。特に2021年は「今年のトレンドスイーツ」としてメディアでも大きく取り上げられ、全国的にブームが広がったのです。
さらに、抹茶やいちご、チョコレート、ピスタチオなど、日本独自のフレーバーが登場し、多様な楽しみ方が生まれました。
【簡単レシピ】家庭でマリトッツォを作る方法
実はマリトッツォは、家庭でも手軽に作ることができます。
材料(4個分)
- ブリオッシュ生地のパン:4個
- 生クリーム:200ml
- 砂糖:20g
- バニラエッセンス:少々
- お好みでフルーツ(いちご、オレンジ、ブルーベリーなど)
作り方
- 生クリームに砂糖とバニラエッセンスを加えて、ツノが立つまでしっかりと泡立てます。
- ブリオッシュを横から半分に切り、泡立てたクリームをたっぷり絞り入れます。
- フルーツやチョコレートなどでデコレーションして完成です。
ブリオッシュが手に入らない場合は、ロールパンや丸パンでも代用可能です。見た目も華やかなので、おもてなしやSNS投稿にもぴったりですよ。
マリトッツォと似ているスイーツとの違い
マリトッツォは「ブリオッシュ+クリーム」という点で、シュークリームやブリオッシュ単体と比較されることが多いですが、それぞれに違いがあります。
- ブリオッシュ: フランス発祥のリッチな菓子パン。クリームは挟まないのが一般的です。
- シュークリーム: 軽いシュー生地に、カスタードや生クリームを詰めた小ぶりな洋菓子。
- マリトッツォ: ブリオッシュにクリームを豪快に挟む、見た目も食べ応えもインパクト大のスイーツです。
このため、マリトッツォは「パンと洋菓子の中間」という独自の立ち位置を持つ存在と言えます。
なぜマリトッツォブームは終わったのか?
2020年から2021年にかけてのマリトッツォブームは、まさにSNS時代のトレンドを象徴するものでした。
ブームが加熱した理由
- SNS映えするビジュアル: 溢れるほどのクリームが写真映えし、Instagramを中心に拡散。
- 新鮮さの魅力: 日本では珍しい「大量のクリームを挟んだパン」という novelty(目新しさ)が話題に。
- 大手企業の参入: コンビニや大手ベーカリーが商品化し、全国で手軽に入手可能になった。

ブームが終焉した理由
- 「重さ」と「食べにくさ」: 見た目は華やかでも、実際に食べるとクリームが重く、「一度食べれば十分」と感じる人が多かった。
- 供給過多による特別感の希薄化: どこでも買えるようになり、希少性が失われてしまった。
- 次のトレンドへの移行: 韓国スイーツや台湾スイーツなど、消費者の関心が新しいブームに移りやすかった。
マリトッツォは「SNSで話題をさらったトレンドスイーツ」でしたが、消費者の関心は短期間で次のブームへと移り、爆発的な人気は落ち着いていったのです。
まとめ
マリトッツォは、ローマ地方で長年愛されてきた伝統的なスイーツであり、その名前には「夫」という意味が込められています。日本ではSNSを通じて大ブームとなりましたが、その流行は一過性のものでした。
しかし、ブームが去った今でも、一部の専門店やカフェでは根強い人気を保ち、家庭で楽しむ人も増えています。単なる流行ではなく、イタリアの食文化の一部として、今後も愛され続けるスイーツだと言えるでしょう。


コメント